裁判所傍聴記録
大阪地方裁判所への道のり
私と同じような方向音痴のために写真付きで道のりをご案内いたします。
まず、南森町の①番出口を出て、右へ大通り沿いに進みます。
目の前に見える高架線をくぐると、左手に横断歩道がありますので渡ってください。 そしてまた大通り沿いをまっすぐ進みます。
まっすぐ進んでくると『COCO壱番屋』が見えてきますので、そこを左へ曲がってください。
その道を道なりに進んでいくと地方裁判所の後姿が見えてきます。
地方裁判所の裏側に出ますので、左から回り込んで正面に出てください。
大阪地方裁判所と周辺
事件内容
裁判員裁判
被告:○○さん
2016年10月に西成区、東淀川区等にて起こった4件の放火
木造の建造物にライターにて引火。他3件の余罪。
罪状
現住建造物等放火罪(Wikipedia)
法律・条文 | 刑法108条 |
---|---|
保護法益 | 公共の安全 |
主体 | 人 |
客体 | 現に人が住居に使用し又は現に人がいる建造物、汽車、電車、艦船又は鉱坑 |
実行行為 | 放火 |
主観 | 故意犯 |
結果 | 結果犯、抽象的危険犯 |
実行の着手 | 焼損に原因を与える行為を開始した時点 |
既遂時期 | 焼損した時点 |
法定刑 | 死刑又は無期若しくは5年以上の懲役 |
未遂・予備 | 未遂罪(112条)、予備罪(113条) |
裁判中の様子
裁判官:3人(真ん中主任・2人サブ)
①が裁判長
原則として経験10年以上
②が右陪席
原則として経験5年以上
③が左陪席
ほとんどが経験5年以下
出入りする順序は必ず①②③の順序で動きます
- 裁判員:女性ばかり6名
(男性は日本の社会システムでは参加難??) - 弁護士2人(後に修習生)5名 検察官3名
- 裁判所書記官3名・警察官2名・被告人1名
- 傍聴人20~30人
- 警察官は人が分からないようにマスク設定
被告人の様子
- 座っている間、そわそわと落ち着かない様子でずっと前後に揺れている
- 裁判員裁判の為服を着ている
(通常の裁判では囚人服を着ていることが多い)
裁判の傍聴席
- 法律の学生?という感じの一見よくわからない男女3人組。
風貌のわりにラフな感じのスウェット。なぜかすごく派手。 - 実習生A氏の隣に座っていた背もたれにふんぞり返って傍聴している年配の男性。
- 私の隣はしきりに細かくメモを書き込んでいる女性。
- 当事者(被害者)らしきひとはいたかもわかりませんがよくわからず。
- 被告人の母が泣いているというシチュエーションはありませんでした。
裁判の進行
- 本名、出身地、住所、職業を読み上げ黙秘権がある旨伝える
- 検察官が罪状を読み上げる「現住建造物放火罪」
- 罪状4件すべて認める
- 冒頭陳述(検察官→弁護士)平成○年○月○日何時何分どこで何をしたのかという内容
裁判員裁判ということで裁判員の方にもよくわかるように詳細に説明。 - 冒頭陳述メモ(モニター)に投影していた。
裁判の争点
責任能力の有無
検事:知的障害を考慮しても同情に値しないという厳しいもの
弁護士:心身膠着状態。心神耗弱状態であったかという点で自分のやることがわるいことだと判断できず、
いわゆる行動制御能力が著しく低下していたため量刑を考慮してほしい
心神耗弱(しんしんこうじゃく)
統合失調症や感情障害などの疾患や、薬物・アルコールの摂取などにより、
善悪を判断し、それに基づいて行動する能力がきわめて低下した状態。
心神喪失より軽いものをいう。刑法上は刑が減軽される。
事件の背景
病的放火癖
飲酒完全酩酊状態。知的障害のため成績が悪く1もしくは2。24歳から西成区に居住。生活保護受給者。
刑を決めるうえでの重要事項
- 悪質でない
- 反省している
- 前科がない
- 再犯の可能性がない
- 死亡者が出ていない
精神科医による精神鑑定
- 悪いことをしていると認識していたと医師の調書にあり。
- 心神喪失状態か…先生判断…知的障害考慮
今後の裁判の流れ
http://www.geocities.jp/waramoon2000/sinkou2.htmlより引用
証拠調べ
まず検察官が証拠により証明しようとしている事実を明らかにする。これを冒頭陳述という。
そして、弁護人にも証拠により証明しようとしている事実を明らかにすることが許される。
被告人質問
おおむね証拠調べの後半で、被告人質問が行われる。
弁論
証拠調べが終了すると、まず検察官が事件について最後の意見陳述を行う。
この検察官の弁論を論告といい、求刑はこの機会になされる。
次に弁護人・被告人が最後の意見陳述をする。これを最終弁論という。
特に被告人の弁論を最終陳述という。
判決
判決の言い渡しは必ず公開法廷において、被告人に口頭で告知する形で行う。
判決文には被告人に関すること(氏名・本籍など)、主文、理由からなり、これを裁判長が読み上げる。
控訴
検察・被告人は判決に不満がある場合、高等裁判所に控訴できる
- 過去の犯罪歴のdatabaseから罪状に対する罰則は大体決まっていて、
裁判員と裁判官の判断材料で最終決定される。 - 判決に不服なら最高裁判所まで控訴。
- 疑わしきは罰せず…大原則が刑事訴訟原則
- 証人尋問 16日・17日・23日 2:30
メモ
- 裁判官は車の運転ができない
- 法律家は常時裁判の案件を200件持っている。
裁判傍聴初心者Q&A
傍聴券をお持ちでない方は入廷できません。
また、土日祝と年末年始が休日になります。ご注意ください。
スケッチブックを持参した上で絵を描くことは許されています。
携帯電話およびスマートフォンの電源は必ずお切りください。
裁判傍聴を終えて
Kの感想
大阪地方裁判所に初めて訪問致しました。
今回の実習生最終課題の機会が無ければきっと足を踏み入れることはなかったと思います。
裁判所はドラマや映画のワンシーンでしか見たことがなく、
弁護士、検事、裁判官が本物(当たり前)で緊張感のある雰囲気に包まれていました。
今回の企画で課題に上がった際は最初は興味本位でした。
しかし裁判の経過をほんの一部垣間見ただけですが、被告の動機、動機に至った環境や
彼が受けた教育が十分でないものであった等社会問題が底辺にあることも事実だと思いました。
もしかすると誰もが陥るかもわからない状況なのだなと裁判所をでて重い空気の中、
ある実習生が「今無職の私たちも一歩間違えばそういう気持ちになることもあるかもしれない」
と発した言葉から感じた正直な感想です。
判決が出るのは今月23日。
どういった量刑が下されるのか分かりませんが、刑期を終えた彼が社会復帰できるよう願ってやみません。
Mの感想
企業実習生課題をきっかけに初めて地方裁判所へ、傍聴に行ってきました。
まず驚いたのは実習先のこんなにも近くに裁判所があることでした。
自身もよく使っていた駅でもあったのでこんなにも身近なところに裁判所があることに驚きました。
そして実際に傍聴してみてドラマや映画でしか見たことのない非日常的な光景が目の前で行われていることに驚きました。
最初は軽い気持ちで傍聴をしていましたが、話を聞けば聞くほど被告人の人生がかかっているんだと思うと軽い気持ちで来てしまっていたことを恥ずかしく思います。
傍聴して一番感じたことは、被告人がどう感じて、どう思っているのかが語られないため、被告人の気持ちが見えてこなかったことです。
裁判には必要のないところなのだろうとは思いましたが、淡々と進められていることがドラマなどのイメージを引きずっているからか、感情が見えてこないことに妙に現実的に感じてしまいました。
今回傍聴してみて、一度は行ってみたいと思っていたので良い経験なりました。
Hの感想
生まれて初めての裁判傍聴で緊張しつつも、
自分の人生を振り返り改めて環境に恵まれていることを再認識しました。
周りの人間関係や環境が自分という人間を構築してきたのだと思うと、
命の尊さを学ぶ環境を与えてくださり感謝しています。
犯罪者は重さに関わらず罪を犯したことに変わりはありません。
罪を犯した人を裁くのは法の知識を正確に学んで選ばれた人であること。
私にはとてもできません。
「逆転裁判」というゲームを遊んできた身ですし、
ドラマでは木村拓哉が主演の「HERO」をTVと劇場版で見ています。
現実の裁判も逆転劇を起こせるのかと思ったのですが…
真逆でした。
自分は働いて「ものを創る」ことで人を幸せにしたい!
人の笑顔や幸せを創れる職業に就き一生精進すると覚悟も固まりました。