
はじめに
『最後の審判』『天地創造』『受胎告知』…ああ、どこかでそんな絵をみたことがあるよ。でも、絵を見終わった後、いったいあの絵ってどんな意味だったっけ?と思ったこと、ありませんか。
オフィーリア…?ああ、樹木希林さんがやってた川に浮かんでる写真だっけ。「実はあの写真には元ネタがあるんですよ」と言われたら、もとの絵がどんな絵なのか見てみたくありませんか?
この世には、聖書やシェイクスピアをテーマにした絵画がけっこう存在しています。そのような絵をちょっとした解説を加えながらご紹介しています。
About
聖書のQ&A
- Q1.聖書はどんなときに読まれるの?
- キリスト教(特にプロテスタント)の場合、礼拝のときに、聖書の一部を「その日のお話のテーマ」として取り上げられることが多いです。聖書の内容を理解しやすいように、牧師さんが日常生活の出来事と結びつけて解説してくださいます。
- Q2.旧約聖書と新約聖書ってどう違うの?
- 基本的には、どちらも神さまとの契約書です。
かんたんに解説すると、「イエス・キリスト」が生まれる前の契約書が旧約聖書、生まれたあとの契約書が新約聖書です。
旧約聖書では、世界や人間や誕生したときの出来事から書かれています。新約聖書では、イエス・キリストの生涯がさまざまな人の視点から書かれています。
シェイクスピアのQ&A
- Q1.シェイクスピアって誰?
- 1500年代後半から1600年代にかけて、イギリスで生きていた劇作家です。日本でいうと、織田信長や豊臣秀吉、江戸幕府を開いた徳川家康と同じぐらいの時代に生きていた人です。
- Q2.どんな作品を書いた人なの?
- 『ロミオとジュリエット』、『ハムレット』などの悲劇、『夏の夜の夢』や『お気に召すまま』などの喜劇、他には『ジュリアス・シーザー』などの歴史劇も書いています。
なお、シェイクスピアが書いたのはあくまで『劇の台本』なので、小説を読むつもりでシェイクスピアの本を買うと、驚いてしまうと思います。
聖書の絵画
西洋ではキリスト教文化が根付いている国も多いため、昔から聖書をテーマにした絵画が描かれています。今回は、そのなかから2つの絵画を取り上げてみました。
“夕方になると、イエスは十二人と一緒に食事の席に着かれた。一同が食事をしているとき、イエスは言われた。「はっきり言っておくが、あなたがたのうちの一人が私を裏切ろうとしている。」弟子たちは非常に心を痛めて、「主よ、まさかわたしのことでは」と代わる代わる言い始めた。”
マタイによる福音書 26.20-22
このシーンのあと、イエスは弟子の一人であるユダに「お金目当て」で裏切られ、十字架にはりつけられることになります。左の絵の中で、ユダは左から4番目にいて、右手にはお金の入った袋を握っています。
新約聖書の「教え」の中で、『イエス・キリストの復活』というのは大きな意味を持っています。イエスはただ個人的に十字架にかけられた、というよりは、私たちが日頃犯している罪を許してもらうために十字架にかけられて、3日後に復活したことになっているからです。
つまりイエスは、先に起こることがわかっているにも関わらず、あえて「教え」を成立させるために自ら十字架にかけられに行くのです。
“…主は降って来て、人の子らが建てた、塔のあるこの町を見て、言われた。「彼らは一つの民で、皆一つの言葉を話しているから、このようなことをし始めたのだ。これでは、彼らが何を企てても、妨げることはできない。我々は降って行って、直ちに彼らの言葉を混乱させ、互いの言葉を聞き分けられぬようにしてしまおう。」”
創世記 11.5-7
シェイクスピアの絵画
あまり一般的には知られていませんが、シェイクスピアを題材にした絵画もあります。今回は、そのなかから2つの絵画を取り上げてみました。
“それからあの娘は柳によじ昇り、しだれた枝に花冠を掛けようとした途端
意地の悪い枝が折れて
花冠もあの娘も
すすり泣く流れに落ちてしまった。”『ハムレット』 第4幕 第7場
“喜びの音楽はさびしい弔いの鐘に、 喜びのごちそうは悲しい通夜の宴に、
喜びの賛美歌は嘆きの挽歌に、 喜びの新床にまく花は亡骸を飾る花に、
いっさいをさかさまの用にあてるとしよう。”『ロミオとジュリエット』 第4幕 第5場
ここでも発見!聖書&シェイクスピア
聖書やシェイクスピアが題材として取り上げられているのは絵画だけではありません。映画や小説にもけっこう取り上げられています。
ここではその中から、6つほど取りあげてみました。
※画像の上にマウスを持っていくと、解説が表示されます

『美女と野獣』
映画版『美女と野獣』で、ベルは『ロミオとジュリエット』を愛読しています。
また、野獣もシェイクスピアを読んだことがあり、ベルと野獣の会話の中に『夏の夜の夢』のセリフが出てきます。

『ウェストサイドストーリー』
「ウェストサイドストーリー」の元ネタは、『ロミオとジュリエット』です。敵対する非行グループに所属する、アメリカの少年少女の恋愛話に置き換えられています。

『ライオンと魔女』
『ライオンと魔女』(ナルニア国物語)のエドはユダのイメージ、アスランはイエスキリストのイメージです。石舞台でのアスランの処刑シーンから復活のシーンにかけては、まさしくイエスキリストの復活シーンを連想させます。

ハレルヤコーラス
年末によく聴く「ハーレルヤ!」の歌は、聖書の一部について歌っています。
「ハーレルヤ!」の歌は、ヘンデル作曲が作曲した『メサイア』という、聖書を題材にしたオラトリオの一部です。オーケストラだけの演奏や独唱、コーラス曲などで、約2時間半かけて演奏されます。

『天使にラブソングを2』
映画の中で、1人のシスターが『旧約聖書』の「創世記」のパロディーを言っています。
…第七の日に、神は御自分の仕事を離れ、安息なさった。(創世記 2.2)にヒントを得て、
「神は、第八の日に、掃除をなさりましたかね?」キレイにしなダメ?と言ってます。

黒澤明監督
『マクベス』と『リア王』を、日本の戦国時代に舞台設定を置き換えて、映画を撮影しています。
『マクベス』は『蜘蛛巣城(くものすじょう)』、『リア王』は『乱』という作品になっています。
さいごに
聖書やシェイクスピアがテーマの絵画を中心にご紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。 教養として「聖書」や「シェイクスピア」を知っておくと、今まで以上に宗教画や洋画などを見たときの理解が深まりますよ!