Yさん | ・大阪芸術大学2回生 ・家に蔵書が山のようにある読書家 ・いつか面白いゲームで作って世界を変えたい |
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自分でも文章を書く文才のあるYさんには、インターンを通じて同じくインターンをしている同級生や、感受性豊かな活時間のある学生のうちだからこそできる、おススメの読書本をピックアップする共に感想を書いてもらいました。
高校時代の楽しかったこと、辛かったこと、どちらも平等に思い出せる本。主人公の通う高校で行われる、高校最後のイベント「歩行祭」。そのイベントは、全校生徒が夜を徹して80キロの道を歩くという伝統行事。主人公はこのイベントに、ある決意をして臨むことになります。
高校三年生にスポットを当てた話で、学校生活を振り返るように楽しかったことや辛かったこと、心残りなことやふと思い出したことを語らいながらひたすら歩く。一見単純で、とてもあっさりとした内容に思えますがそうではありません。
20歳になった今、高校時代をしっかりと振り返られる作品です。
テレビや世間では、こういった昔を思い返し「戻りたい」と思うことを厳しい就職活動からの逃げだという意見もよく聞きますが、決してそういった逃げから来る思いだけではありません。
(完全に無い、とも言えませんが)
高校時代を振り返ることで、得るものはたくさんあります。大学や専門、就職をしてからこうなりたい、ああなりたい、あれをしてみたい。
きっと高校時代、そういったことを思っていた筈です。そういった「夢」や「決意」を強く思い出すことは、「今」から逃げたいと思っている人たちにきっと勇気を与えてくれる筈。
高校時代の青春、葛藤をありのままに書いたこの作品は、困難にぶち当たり迷っている時こそ読むべき本です。
人類は女性として生まれ、一部の優秀な女性が男性化するという話。生まれながらに殆ど女性しかいない世界に、数少ない「男性化」した男性は物凄く優秀で秀でた存在。
男性が優秀、という表現からこの作品をあまり好きになれない方もいますが、私にとってのこの作品は男性の少ない世界で強く生きる女性社会を描いているようにも感じました。
高校を舞台とし、女性しかいない、優秀な女性が男性化する、心の成長、そして殺人事件。
本が好きな人には必ず読んで貰いたいが、本を読みたいけど普段なかなか読まず活字が少し苦手という人にも是非読んで欲しい本です。
内容量も適度で、4章程に内容が短編のように分けられているので読みやすいかと思います。
鎌倉でひっそりと営業している「ビブリア古書堂」が舞台。そこで働く若くて綺麗な女性と、幼い頃の些細な悪事が原因で「活字恐怖症」とも言える症状を持ち古書堂で働くこととなった男性を中心に進むストーリー。古書堂に持ち込まれる古書の謎を解き明かして行くミステリー本です。
章ごとに違う古書についての謎が書かれています。全く知らない古書もたくさん出てきますが、それについての説明も丁寧にとても興味深く解説されています。勿論、ミステリーと絡めた古書の説明は凄く印象強く謎解き自体も楽しめます。
この本を読み、更にこの本で知った本に興味を持てれば、読書をする機会が増えるのでは。読書、というのは小さい頃には「読まされるもの」という印象があったのではないでしょうか。
好きでもないことをしても、とても自分のためになるとは思えません。
また、読まなければならないと自分で割り切っていてもそれが嫌々では読書の継続には繋がりません。
好きになりたい、読みたい、と思えたら、どれだけ読書が苦手でも活字がしんどくてもきっと読破出来るし、自分の頭の中にしっかり残ります。
この本は、「読書をしたい」と思わせるきっかけになるのではないでしょうか。
どの本を読めばいいかわからない、という人にも、とてもオススメ。
決して読書を薦めるだけの本ではありません。ミステリーはとても奥が深く、とても読み応えのある本です。
本は確かに勉強になるし、自分の知識量を増やすには欠かせないものかもしれませんが、仕方なく読むのではなく折角ですから本を好きになって読んで欲しいです。