「トップ営業マンとして大切なことはリクルートで教わった」
江草三四郎著
リクルート発行プライダル雑誌「ゼクシィ」の営業現場で活躍してきた筆者の営業マンとしての「気づき」を述べた指南書。
決して人前で話すのが得意でも、弁が立つ訳でも、体育会系でもない一般的な営業マンである江草氏だからこそ分かったクロージングの決め方や、そこに至るまでのサラリーマンとしての大事なポイントは必読。
まさに営業を始めようとする方にはお勧めである。ギネスブック認定の世界一の営業マン「ジョージラード」とはまた違ったタイプの営業スタイルを体験談として読むことが出来る。以下、本書で興味深かった点を列挙します。
第一に「経営者感覚」のある営業マンになるべし、と筆者は言う。先方へ伺う労力やコスト等を考えた上でのプレゼンなら自然と力が入り、また一回の訪問で経費がいくら掛かっているかを考え自己申告する癖をつければ、責任が生まれることで、その感覚を養う事が出来る。
第二に「仕事はソロよりオーケストラで」の精神にも共感できた。煮詰まった時は同期に聞いたり、出来る先輩を頼ったり、と独りで悩まずドンドン聞いて情報の共有を計る、そこからクロージングへの糸口を見つける。聞いたら怒られるのではないか…急がしそうだから迷惑ではないか…などと思わず素直な姿勢が大切である。
第三に「プレゼンRPG」の重要性。これは社内でプレゼンを行い、事前に突っ込まれるであろうポイントを炙りだしておき、その反論を用意してゆく事でプレゼンを成功させる手法。
第四に「顧客視点でのプレゼン」
広告スペースを売るだけの営業マン…略してスペースブローカーになってはいけない。なぜこの時期に、この切り口で、このような宣伝を打つ事に意味があるのか、それによって顧客がどのような費用対効果を得るのかを著者が考えている点が、ノルマだけを考える一般的な営業マンとは違い非常に好感がもてた。その他にも顧客目線で仕事以外での提案や人脈紹介など様々な角度から貢献してゆく様も良い。
ただ、一点気になったのが筆者の顧客がレストランだったり、ホテルだったり個人商店だったりするのだが、リクルートの「ゼクシィ」を読んだ事がない私には、どのような商談を纏めるのかが漠然として、ピンとこなかった事である。