生き方 を読んでの感想。
仏門に帰依した稲盛和夫氏の含蓄のある格言でもある。どう生きてどう死ぬか、生きている間はカルマの洗い流し、稲森和夫という著者自身が何か偉大なるものとでも言うべき
『サムシング・グレート』に選ばれて京セラを作り、慈善財団を作り、社会貢献によって利益を世に還元させて頂いている存在だと言い切るまでの潔さは読んでいて心地よい。
成功しても傲慢だと反省すれば、大声で「すいません、なんまんだぶなんまんだぶ」と唱える人格者でもある。なにより共感出来たのは「人生の方程式」である。
人生・仕事の結果とは、考え方×熱意×能力である。
熱意と能力を掛け合わせても考え方という方向性が間違っていると人生はマイナス点になってしまうという戒め。
他人を羨んだり自己の現状を嘆くよりも自分以外の者の為に頑張る心意気が他己の思想であると説いている。わたし自身で言えば他人に迷惑を掛けないのは当たり前として、電車で席を譲ったり、老人の荷物を持ったり、階段でベビーカーを持つ妊婦を手伝ったり、小額ながら寄付をしたりとプライベートでは人様と同じ様に小さな善意を行ってきたが、日々の健康や息災がそれらの因果応報によって保たれてきたという発想はなかった。
そういう意味では日々の無病息災にも、もっと感謝すべきであり気づけたのは僥倖である。人間は他己の為に働く、つまり妻や子供の為、属する会社をより良くする為、人の上に立てば私利私欲を捨て顧客サービスや社会正義の為、それらを成した後は日本という国をより良くする為、そして世界をすらも、より良い方向に導く為財団を創設した著者の情熱は凄じいの一言に尽きる。
一介のサラリーマンから身を起こした著者の生き方のように、また運命という縦糸と因果という横糸で人生という曼荼羅を織り上げる様に、感謝が自然と出来る、人間として一番大切なことを大事にして日々生きてゆきたい。ビジネスマンのバイブル以前に、人として慈しみのある生き方を伝えた一冊である。